nonaブログ

地域の建築

2018年12月13日
家づくり

日本には各地に蔵を兼ね備えた住宅があります。

その重厚な建築は、現代では使用目的がほぼなくなり、持ち主の重荷になっていることは多々あります。

その蔵を生かす試みが、自治体発信で推進している地域もあれば、

個人が残したいという想いで様々な工夫をされている場所もあります。

 

今日、訪れた場所にその蔵はありました。

ぼろぼろになっていた蔵をどうにか愛すべき建築にしたい。

そんな想いで、建築主と建築家と職人さんと三者で一緒に作った蔵→店舗。

 

3つの空間を土壁が仕切り、その真ん中の空間は建築家が作りこんだほうが良いとこだわった、小さな漆喰の白いBOX。

蔵の古さを存分に堪能しつつ、雑然としない整った印象は作りたい、

という建築主の要望を、この建築の芯にある白いBOXできちんと完成させています。

 

その土地の材料を使いたいという想いが建築主にあり、

外部の漆喰の砂を庭から採取したところ、イメージとかけ離れた色になったので別の地域からの黒漆喰を採用した

と苦笑いしながらお話された建築主。

とても堅実で理想的で素敵な価値感をお持ちの方でした。

 

一度完成し、ギャラリーとして使いながらこまごま手を入れているとのこと。

今ある建築を大切に想う人がギャラリーとして発信しているので、

そこで展示されているものと一緒に、少しづつこの価値も広がっていくだろうな。

と嬉しくなるのでした。