3年前に現場監理のお手伝いをしたお施主さんから、窓をつくりたいと相談がありました。

まだ住み始めて間もないうちからリフォームの相談を受けたのです。

 

西風の強いこの地域では、夏の夕方は西風がとても気持ち良く、そのまま夜も西風が吹いている。

今は西面は全面壁になっているので、どこか一部窓を作りたい。

住まい手は、なるべく空調設備に頼らない暮らしをしているので、猛暑でもエアコンなしでなんとか過ごしているそう・・

近年の夏の暑さを考えると、土壁の家でもエアコンはつけた方が良いのでは、と伝えましたが、

窓を作って西風を享受してから、それでも暑さをしのぐには足りない、と感じたときにエアコンをつけるか検討したい、という返事でした。

 

こちらの家の建築に当たり、設計は携わりませんでしたが、

設計段階でどこまで現場を知ってどこまで住まい手と共有できるか、が本当に大事だな、と

お施主さんと打合せをしながら他人事ではありませんでした。

 

幸い、大工さんもとても腕が良く相談にも乗ってもらえる頼れる方だったので、

追加窓設計内容がザクっと決まると、大工さん含めて詳細を詰めてなんとか梅雨前までに工事完了。

 

 

西風が強い=雨が西風に乗って入り込む。

この心配を払拭するためと西日の入り込みをさえぎるため、格子を密にいれ、風だけがスルスルと入ってくるように。

 

 

また、地袋部分の外壁を窓にしたので、毎回開閉するたびに地袋に這いつくばらなければいけない不便さを考慮して、ヒモで引っ張って開閉できるようにしています。

 

小さい窓なので、格子のサイズも大工さんと相談し、ごつくなりすぎない綺麗な寸法の材を選択。

鍵は、大工さんが可愛い古金物を選択してくれました。

これで、自然を享受した暮らしに寄り添う建築に一歩近づけたような気がしました。

 

この工事に当たり、

住まい手と職人さんと設計者。

三者が考えるところを述べ合い、プロとしての経験・知識の共有が出来、

小さい工事でしたが、充実した時間の中で設計と工事が進んでいきました。

どの建築も、それぞれそのように進んでいきますが、

今回は特に、三者で作った窓、という感想が強い。

 

私の理想とする建築の有り方。

きっと、住まい手との打ち合わせにいつからか職人さんも同席し、住まい手と職人さんの接点を沢山設け、

この人に工事をしてもらうんだな、

この人の家を作らせてもらうんだな、と。

お互い認識した家づくりをしたいのです。

 

そうすることで、引き渡し後万が一工務店さんがなくなっても、

設計者と職人さんで建築のメンテナンスやリーフォームの相談にも乗れます。

 

職人さんが退職されても次に相談できる職人さんを紹介してもらう。

設計者が退職しても次に相談できる設計者を紹介する。

そうなれば、信頼できる人から人へ暮らしは守られ、いつか代が変わっても安心して家を引き継ぐことが出来る。

 

家は30年ちょっとで壊すものではありません。

傷んだらメンテナンスをして、住宅設備が古くなれば取り換えて、そうやって住み継ぐもの。

仮に建築主が家に住めない事情になり去ることになっても、大切に暮らしていた家は新しい家族に迎えられ、また再び職人さんたちに守られる。

 

いつかこれがベーシックとなるように。