暮らす人にとって心地良い場所を造る。
心地良い場所とは。
土や空や風、自然の力を感じることが、住む人を心地よくさせるのではないかと考えます。
例えば、
湿気でむんむんの初夏から台風の季節にかけて、土と竹で作った壁が不快を凌ぐ。
湿気を感じない夏は、エアコンをつけなくても、その土地の風の通り道を確保し、
快適に過ごすことができる。冷えすぎない家で、快適に体温を保ち、
夏野菜で身体を心地よく冷やし、身体バランスを自然に寄り添わせる。
暑さをものともしない子供たちが庭で遊んでいる様子を、網戸越しに部屋の中で快適に見守る。
土壁に囲われた小さな部屋はひんやり気持ちよい静寂がある。
軒の深い窓辺なら、夏の強い日差しを遮り、また夏の南風に煽られた雨の降込みも少なくなる。
冬場の北窓は冷たい空気のたまり場だけれど、紙のカーテン障子が冷たい空気をしっかり遮断し部屋全体に安定した光をもたらしてくれる。
木の無垢の床板に座っていると、そこが温もりを保っていることに気づく。
無垢板は昼の暖かさを蓄熱。その室内の暖かさを木の雨戸や障子は夜まで逃がさない。
朝一番、雨戸を開けると庭の木の小さな芽吹きを見つけ、春を感じる。
外と内がゆるやかに繋がっていることでふと時を止めて、
置かれている環境を感じ考えることが、日々の有意義さを作り出すきっかけになることも。
日常に追われる暮らしの中で「この家を造って良かった」と
感じられる瞬間がたくさんある、このことを大切に設計していきたいと考えています。
今家づくりを考える大人たちは、子供や孫の世代に残す家を建築することになります。
そう考えた時、どんな家をこの地域に残したいと感じますか。
どんな暮らしを次の世代に伝えたいと、どんな文化を継承していきたいと思うでしょうか。
こういったことも少し視野に入れながら、住まう『家』を一緒に考えていきます。
土壁や無垢板の素材の力と、日本で暮らしてきた人々の知恵の恩恵を受けながら、
現代の社会生活に沿った未来に投資する暮らしを一緒に考え、建築した住宅でそれを実践していく。
そんな『家』を、建築主と、技術ある日本の職人や工務店も一緒に
三者で会話をしながらつくっていきたいと思うのです。