随分投稿を怠っていました・・
先日、知り合いの大工さんが手解体をしていると聞いたのでお邪魔しに行きました。
築およそ120年の建築。当初は鍛冶屋の工場も兼ねていたようです。
その120年の間に何度も改修工事を重ねていて、合板やボンドで接着された木材が沢山出てきます。
床の高さを揃えるために4重貼をした床板。
4枚全て積層フローリングなので層の数がすごいことになっています。
フレコンバッグに入れるため小さくカットしてありますが、それでもなかなかの重さ。床板でこんなに重さを感じたことは初めてです・・
この写真のゴミはリサイクルされます。
隣に置いてあった袋の中のゴミは、ビニルクロスが引っ付いて取れなかったり、ボンドが強力にくっついているために他の建材と分離できないものたちで、それらは残念ながら埋め立てゴミ行きです。
建築用ボンドは相当強力です。
鋼製束とベタ基礎をくっつけているボンドが強力過ぎて、鋼製束を撤去するときにコンクリートも一緒に剥がしてしまう、と聞きました。
びっくりです。
合板とボンドに惑わされながら進める解体現場は、やはりなかなか進まないようで、
大工さんは、建築工事しているより解体工事依している方が時間が長い、なんて冗談を言っていました。
120年前の建築当時は固定金物は釘でしたが、改修時はビスが登場。
ビスはいざ解体時は引っこ抜くのも大変、また破断してしまいやすく残りを取り除くことがこれまた大変のようです。
釘でしたら引っこ抜くのも簡単。
新築時にボンドや合板やビスを極力使わなければ、
改修時に手間がかかりコストがかさんだり、リサイクルできない材料が増え廃棄コストがかかる、という心配は減らせそうです。
建てた家が数十年後、コスト面でも時間面でも改修しやすくなっていると、次の世代もその時間や費用を別に充てられます。
長い年月使う建築には、解体時も考慮した設計をした方が良いですね。
それがLCA(ライフサイクルアセスメント)の評価軸です。
生産→運搬→工事→運用(住む)→解体→リサイクル→運搬・・・
LCAは、LCM(ライフサイクルマネジメント)といってコスト管理等も併用して考えます。
環境に無駄がないことはコストにも無駄がない、ということが言えますね。
建築は消耗品ではありませんので、
利用するのは購入世代だけでなく、次の世代、その次の世代も可能性はあります。
そして地域の財産になるものです。
まさに事件は現場で起きている、を見た感覚。
解体現場は土ぼこり満載の学びの場でした。