nonaブログ

2025大阪万博

歴史文化、社会経済

終わりましたね。

私は会期中、合計3回足を運びました。

内1回は、トイレめぐりと題して建築仲間と一緒にうろうろ。

トイレ1

設計:井上岳氏・棗田久美子氏・赤塚健氏・斎藤直紀氏・中井由梨氏

入口と出口が違う扉の設計で、トイレから出ると初めて見る風景を楽しめる工夫がありました。

扉の操作が初めてのことなので、自分が入っているときに次の人が入ってこないか鍵を念入りにチェックしたのと、出口の扉を開けたときに入口の扉に空の表示がちゃんと示されるか不安になりました。(笑)

トイレ2 通称「残念石トイレ」

設計:小林広美氏・大野宏氏・竹村優里佳氏

昔、お城を作るために切り出したのに使われなかった石を、現代でようやく表舞台に立たせたデザイン。

ただ置いてあるだけでなく躯体としても機能していて、巨石に守られている印象が強く残りました。

トイレ4 土壁3Dトイレ

設計:浜田晶則氏

ここには土壁の3Dプリンターをどうしても見たかったので寄ったのみでトイレは体験しませんでした。

硬く締まった土は荒壁の土とはずいぶん違う印象で、素材の作り方が気になりました。発酵の過程や土の素材など調べたいと思います。

トイレ6

設計:KUMA&ELSA

広場が上に載っているトイレは外観にポップな庇が取り付けてあり可愛くてとても目を引きました。

室内はとても広く、トイレがズラッと続いています。どこが開いているか使用中かが分かる工夫も扉にあり、細かいところまで楽しめるトイレ。

トイレ7

設計:鈴木淳平氏・村部塁氏・溝端友輔氏

こちらも3Dプリントされた樹脂壁で中庭との仕切りを作り、ヒマワリがうっすら見えていたりと樹脂壁を隔てたやんわり確認出来る向こう側の世界を楽しむようなトイレでした。

そして、一番印象に残ったトイレは、

トイレ5  通称「2億円トイレ」

設計:米澤隆氏

トイレに二億円も使うなんて!と批判が相次ぎ、万博側が説明すべきところを、設計者である米澤さんが買って出て、Xで毎日毎日批判コメントに対して説明を重ねていました。

そしていつの間にか批判は興味に変わり、実際に現場に足を運び、良いトイレだったという声となる。さらに批判投稿に説明している米澤さんの応援をコメントでするという、一連の現象をはたからみていて大変に感動しました。

最後まで批判していた投稿者とも、(米澤さん京都出身)お互い関西のノリで突っ込んだりしていて。

丁寧に説明を尽くす。

とても根気がいることでなかなか出来ることではありませんが、理解してもらえたらその相手は味方になってくれるし、説明を尽くしている姿に共感者も周りに現れてくれる。

説明しよう。理解してもらおう。という気持があれば、いつか理解してもらえるという好実例を目の当たりにしました。

また、実際のトイレに関しても、実は一番印象に残るトイレでした。

多様性・ジェンダーフリーに配慮したトイレはいたるところにありますが、

そのトイレの扉の前に並んでいる時点で、他の人から視認されている感覚ととなり、並び辛いということがあるのかなと想像します。

この米澤氏設計のトイレ5は、オールジェンダー用・女性用・男性用ゾーン分けされていて、良い意味で分かりづらくなっています。

男性ゾーンと女性ゾーンの間にオールジェンダーゾーンがあります。

トイレがバラバラに配置されていて、各ゾーンの入り口がトイレとトイレの間となっていて明快となっていないため、

トイレにアクセスする経路も人それぞれとなっています。

中央あたりのトイレとトイレの間が、一番人が多く並んでいます。

どこに入ったらいいんだろうと初めに案内板で確認する人以外は、

人が並んでいる後ろに並びだします。

故に、ジェンダーレスを気にしている方なのか否かがぱっと見分かりづらい状況となり、結果誰でも並びやすいトイレの列となっていました。

この現象は、もしかしたら万博という体験イベント会場ならではの許容さかもしれません。

ビジネスの場でしたら、さっとすませてさっと出てきたい。そのためには明快に入口が分かるようになっていてほしいものです。

万博という場所だからこそ、この半分積み木のおもちゃのような佇まいをしているトイレ空間に、

新しいトイレ体験ができるのではと期待する感覚で、

この列が何に繋がっているかわからないまま、試しに並んでみる、

という現象が起きているんだと感じました。

間から入って間から出る。

間は多様なゾーンに繋がっていて、そこに壁も扉もない。

この形態によって、LGBTQとシスジェンダーとの境目がぼやけたような感覚を得られた人もいるのではないでしょうか。

設計の米澤さんには、そこの意図があるのかなと思いました。

素晴らしい設計力のトイレでした。

体験してみて初めて理解できる設計の力。

私もこのような新しい優しい感覚を伝えられる設計者になりたいな。

最後の三回目は娘と。

休憩所1

設計:大西麻貴+百田有希

横名振の雨が降り出して、逃げ込むように入った休憩場所の奥に、包み込まれるようなカームダウンクールダウンスペースを見付けました。

誰もいなかったのでゆっくりしましたが、クッションの壁と座面に包まれて何とも言えない落ち着く空間を体験出来ました。

最後に、永山裕子さん設計のPanasonicパビリオン

このいくつもあるくねくねしたフレームは、解体すればコンパクトにまとめて、また別のところでも使える外装材です。

建築を作るたびに毎回新しい材料を調達するのではなく、再利用材で十分楽しめるという例を作っている建築家です。

ひらひらと風に舞うオーガンジーに光や水滴を当て、とても幻想的な雰囲気がつくられています。

この色が個人的に好きです^^

万博に行ったという声をXで沢山見かけます。

一般の方も、建築を仕事にされている方も。

写真や文章を拝見し、自分では気が付かなかった工夫の投稿や同じところを見ていてもそのように見ていなかった建築写真など、Xでも充分に楽しめる、SNSが普及している現代の万博でもありました。

万博開催にあたり、また運営についても賛否ありますが、

私は、訪れた人があの大屋根リング(金物を使っていたり集成材を使っているので従来の貫構法ではありませんが)の中を歩いて、また外から見て、

日本の木組みは美しいと感じられた様子をXで沢山見させてもらいました。

残してほしいという声も多く投稿されていました。

木組みの建築にとって大変意義のある場になったことは、歓迎すべきことだなと思いました。

万博HPより拝借 大屋根リング夜景も万博HPより拝借

意匠から日本の技術や素材の良さを伝えていき、国産の建築を広めていけたらなと思いました。