毎回引き寄せられる依水園に、今回も行って参りました。人生三回目。
一度目は会社の研修旅行で訳も分からず。
二度目は子どもとの家族旅行で。
どちらもゆっくり見ることは出来なかったけれど、それでも毎回私の心と頭に焼き付く風景がこちら。

後園のお池から東大寺南大門と春日山が顔を出し、電線が見えない風景。
電線がないため何時代かわからない様子も良いですし、
色とりどりの緑に囲まれたこの場がとても贅沢でありがたいと思うのです。
今回三回目にして、一人でじっくり堪能出来、ようやく依水園について色々知ることが出来ました。
池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)という形式のお庭で、江戸時代に発達した日本庭園の様式の一つです。
この形式の庭園は検索すると沢山出てくるので、旅行先で意識的に訪れるとまた面白いと思います。
依水園は、江戸時代の中期前(ちなみに綱吉が五代将軍となる前)に、前園とそれを愛でる三秀亭・挺秀軒が建設され、
1899年明治中期・(ちなみに第一回オリンピック(アテネ)開催3年後)に、後園が着手されて、1911年依水園完成となります。
前園・後園それぞれお池を囲った小道に沿って建物がぽつりぽつりと建っているのですが、一つ一つが個性があり、また数寄屋作りの華奢な佇まいで小ぶりですぐに腰かけ荒れるようなカジュアルな建物も多く、とても良いのです。

これは柳生堂といって、後園に入ってすぐに建っているのですが、今回人も少なくじっくり見たところ、
樋が木製でした。
また、檜皮葺の屋根に樋が付いているのも珍しく、軒反りの屋根の先端と樋の水平との対比が面白く映ります。

寄付(よりつき)。
可愛らしいプロポーションに可愛らしい小石を並べて縁を作り小道から気軽に足を入れられるものの、
入れば外部との縁が少し遠くなるような工夫があります。
それは現代の家にも通づる土間の少しのレベル差だったり、
軒の深さをとることで内部と外部の中間部をゆったりと設け、
外部でありながら内部にいる抱擁感を得られるようになっていたり。
私の大好物です(笑)
前回も前々回も愛でている風景とは別に、今回気が付いたことがあります。
それは戸袋のないガラス戸の収納場所。

こんなにラフにガラス戸を収納するんですね、とびっくりしました。
建築された当時のままの使用方法でガラス戸を開けたり閉まったりしている様子は、保存管理されている方々の配慮はもちろん、
訪れる人がむやみに触ることなく見学してくれているからでもあるだろうと、観光客側の態度も大事な要素だとしみじみと感じました。

こんな風におしゃれに遊ぶ工夫も。
また、毎回見ていた水車は光付けされていることも今回気が付きました💦

石場建の建物は光付けがされているものもあります。
地震時に柱と石が滑らないため、住宅において光付けの採用は少し検討を重ねた方が良いと思っていますが、
水車のような建物で、柱や板が石に沿って綺麗に設置してある様子はこれまたとても自然で美しいですね。
ゆっくり見れたのでこんなお知らせも目に入りました。

毎年この時期に開催しているそうです。
来年は是非とも伺いたい。
久々の依水園。楽しませてもらいました。