こんにちは。
現在施工が進んでいる現場は断熱材充填完了。
この後大工さんの地元はお盆に入り、少しのお休み。
なにやら大きいお祭りがあるため地元民総出でお祭りを盛り上げるそうです。
山や海に近いところはそういった風習が当たり前に残っていますね。
さて、題名の件。
結露は壁外で起こるものと壁内で起こるものがあります。
壁外で起こるものが表面結露といいます。壁内で起こるものが内部結露。
今回は表面結露について。
原因は、材料の温度と室内の水蒸気量(湿度)が影響します。
まず、結露現象から。
よく例えられるのが、この時期冷蔵庫で冷やしたビールをコップに注ぐとあっという間にコップの外に水滴がつきます。
これが結露です。
冬場はアルミサッシのアルミ枠部分に水滴がつくことがあります。これも結露。
上記2点は、
コップに使われている材料やアルミサッシに使われているアルミの熱伝導率と、
その周りの空気に含まれる水蒸気量によるものです。
材料の熱伝導率(W/m・K)により同じ温度差・同じ水蒸気量でも結露にならない場合があります。
熱伝導率とは、熱を伝える力がどれくらいあるか、という比較数値。
ですので数値が小さいほど熱を伝える力が小さい、ということになります。
ちなみに、熱伝導率の単位:W/m・Kの説明をしますと。
W=仕事率。ワット
1Wは1Jの仕事を1S(秒)で行うこと。1Jとは1Nの力で物を1m移動させる力(仕事量)をいう。故に1W=1J/s=1N・m/sとなる。
m=長さ。メートル
K=温度差の単位。ケルビン。1℃の差=1K。
熱伝導率 1W/m・Kとは、
内外の温度差1Kで材料の厚さ1mの場合、1秒間に1Jの熱エネルギーが通る、ということになります。
話を戻しまして。
コップがプラスチックの場合、水滴がつきにくいのが想像できますね。
コップによく使われるアクリル樹脂の熱伝導率は、0.2~0.3W/m・K。
硝子の熱伝導率は、1W/m・K。
アクリル樹脂<ガラス、となります。
同じ厚みの場合この熱伝導率の差で比較できます。
アルミの熱伝導率は種類にもよりますがおよそ173W/m・K。
木(桧材)の熱伝導率は、0.12W/m・K。
アルミ>桧。
故に木製の建具はほぼ結露をしません。
また、他の表面結露の現象として、
冬場の室内の壁が表面結露して水滴がついている場合があります。
これは、冬の冷たい空気の影響を受け室内壁の表面温度が下がった時に、室内の温かい温度との差、また室内の水蒸気量により起こっています。
空気の中には水蒸気が含まれています。
空気の温度によって含むことのできる水蒸気量は違います。
空気の温度が高いほど水蒸気量は多く含むことが出来、低いほど含める水蒸気量は少なくなります。
室内の温かく水蒸気量の多い空気が、表面温度の下がった室内壁に当たった時、
温度の下がった空気はその温度の水蒸気量(飽和水蒸気量)しか含むことが出来ないので、
室内水蒸気量-温度の低い空気の水蒸気量=余った水蒸気、となります。
この余った水蒸気が気体から液体となり、冷えた壁に水滴として付くこととなります。
このメカニズムから考える結露対策は、
・外部建具は木製や樹脂製にする。
・外部壁の断熱性能を高くする。
・室内換気を定期的にする、もしくは除湿器を作動させる。
です。
特に外部壁に面した押入は、収納しているモノに含まれている湿気が結露を引き起こします。
普段目にすることのない押入内の換気もしくは除湿対策は大切です。
すのこを敷いてその上にお布団を置くだけでも空気の流れを作るので有効ですし、
除湿剤をおいておくとあっという間に水分が吸収されていく様子が分かります。
外部建具を木製にすることもおススメします。
結露対策だけでなく、リラックスの出来る空間造りに効果テキメンです。
気密性はアルミサッシには劣りますが、昔の隙間風のピューピュー入る建具とは現在は異なり、精度の高いもの・経年変化の少ないものが作られています。
金物等で気密性能をを高くする工夫もできるので、木製建具のデメリットは以前のものと比べると少なくなっています。
新築工事、もしくは改築工事等をされる場合は、断熱材の性能を確認すると良いでしょう。
国内の地域によって省エネルギー基準の断熱性能区分が違います。
その数値を参考に、どの程度必要なのか、設計者や作り手と共に話し合いましょう。