nonaブログ

材木市場

2020年7月25日
家づくり、建築施工、建築材料、建築設計、環境

材木市場に行ってきました。

広葉樹の多い市場には、この象の足の裏のような原木がゴロゴロしています。

材木の仕入れは、生木(伐ったばかりの木)と乾燥させた木の選択から始まります。

生木は多くの水分を含んでいるため、これから乾燥して反ったり曲がったりしていきます。

伐ったばかりの木は、最大で150%の含水量があります。

自重より多くの水分を含んでいるんですね。

生木の状態で製材すると、その後反り曲がりの影響を受け、

他の材との接合が上手くいかなかったり、

そもそも強度が出ていないので、構造上問題となったります。

ですので、建築や家具で使用する場合は、乾燥材を使うことが現代では必須です。

乾燥材についてはまた今度書きますね。

今回の材木市場は、生木。

大工さんや家具屋さんは、生木を仕入れたあと、

自分の倉庫などで1~3年程度乾燥させます。

その間に反ったり曲がったりするので、原木の購入には目利きが必要となります。

なぜ購入後に反ったり曲がったりと、動いてしまう生木や原木からの購入を選択するのか。

それは好きなサイズに製材して乾燥出来ること。

乾燥の手間がかかっていない分、お値打ちであることが挙げられます。

ですので、家づくりに使う木材を原木の状態で購入すると、

なるべく捨てるところが少なくなるよう木取りをする工夫が出来たり、

とてもお値打ちに建てることが出来たりします。

この時期の材は、表面にカビが付いていたり、それが中まで浸透してしまっていて「あお」と呼ばれる深いカビ症状になっているものも見受けられます。

表面のカビは鉋をかければ取り除けますが、中まで浸透してしまっているものは色も悪くなるため使えません。

その中から、選りすぐって競りで落とす。

森林組合員でない大工さんや家具屋さんやDIYが趣味の素人さんも参加できるこの材木屋さんの競りには、この時期でも50~60人ぐらいが来るそうです。

質の良い材料からハネ材まで、さまざま置いてあってとにかく面白い!

これは針葉樹の杉。目が詰まっていて直径も大きく高樹齢の杉。

ウダイカンバというカバノキに属する木の皮。

人気のブラックウォールナット。

家具だけでなく、フローリングなどにも好んで使われます。

しっとり焦げ茶色の色合いが、落ち着いた空間を作り出します。

原木から挽いたあとのハネ材。

小さな家具に使えそうなものを一梱包いくらで競るようです。

欅の平板。中央の色が変わっているところは、ボンドが塗ってあります。

割れを防ぐための対策。これは購入者が鉋をかければなくなります。

この赤い材は名札がなかったのですが、サペリと思われます。

写真で見るよりもっと茶色に近い赤で、とてもかっこ良い材料でした。

これを我が家のテーブルにしたい・・・

とてもきれいな欅(けやき)。

最近は、和の雰囲気の家や和室を作る人が減り、欅の出番がぐっと減っているそうです。

そのため市場には欅があふれているとか。

円形でテーブルなどにも。

面白いですよね。

購入する予定が無くても、見て回るだけで時間が経つのに気づきません。

切り身の魚をスーパーで見るとき、魚屋さんでなくても魚の全体像をなんとなくイメージ出来る私たち。

木材をみたとき、この元の姿をなんとなくでもイメージできる人がどれほどいるのかな、と思いました。

幹の太さ、皮の表情、葉っぱの形、太いのか細いのか、曲がって伸びるのか真っすぐ伸びるのか、等々。

「昔、木と人は仲良しだったんだよ」

昭和30年代初期の暮らしを表現した映画『となりのトトロ』の中でのお父さんのセリフです。

この自然災害の多い時代。

私たちは、自然に立ち返ることが大切な時代に来ているのかもしれません。

なにせ様々な材料を見れる市場。

一般の方でも入れる市場もありますので、

大人の社会見学としてフラッと見に行くのも面白いと思います。

また、原木からの家づくりは、

長い目で家づくりや家具制作をお考えの方にお勧めします!