先週、山七建築工房の佐藤さんのご紹介でタチキカラの杉野さんに会ってきました。
設計を仕事にして20年経ちますが、木こりをされている方と対面してお話するのは初めての経験です。
実は設計者が山に入って木こりと話すことはあまり行われないことなのです。
しかし私はここ数年森と街について考えるようになり、
満を持したようなタイミングでご縁をいただき、森にいる杉野さんにお会いすることが出来ました。
その昔は、杣と大工は繋がっていて大工と現場が繋がっていた。
森に生えている立木を見て、これはどう使うと良いか、など杣人と検討しながら材料を作っていた、
と言います。
今は、森と現場は繋がっていなくて、流通されている材料を時間や量やサイズや価格といった条件に合わせて購入している。
現場は森の状況は知らず、材料を選択してしまう。
家が商品化されていく中で安定供給と流通スピードがどうしても優先になり、
森から木を伐りだして乾燥・製材・乾燥というゆっくりと材料を作っていく工程は現代に合わないとされてしまっています。
その結果、林業が衰退し森が荒廃し立ち行かなくなってしまっている現在。
追い打ちをかけるように、気候変動の影響から荒廃した森の土砂災害の可能性も高まってきています。
第一次産業が元気でないと国は元気だと言えないのでは、と私は思うのです。
特に世界でも珍しいほどのこの自然豊かな環境である日本は、
自然環境と上手に均衡を取ってきた文化であるのだから、
自然と距離を置いてしまうことはバランスが崩れてしまうことになるのだろうと思います。
そんなことを考えて、まずは森の話を聞いてみたいという気持ちで杉野さんにお会いしました。
次へ。