クリスマスから一泊で、石川県に家族と行ってきました。
これまで石川県は何度となく遊びに行くところでしたが、和倉温泉より北に行ったことはなく、今回初の北上。
能登島へ橋を渡り入り、縦断して本州に戻りそのまま対岸の『ヤセの断崖』『義経の舟隠し』へ。
その道中、カメラをフロントガラスから離さず、街並みを凝視。
ハウスメーカーの家が一軒もない道が続きました。
住んでいる場所柄、そこそこの山深い場所にはよく行くのですが小さい集落でもだいたい数件はハウスメーカーの家を見ます。
集落に連なる家々とは風情が異なる家が、突然何かを主張するように佇んでいる光景を見ます。
しかし、能登島から本州横断する間に一軒も見なかったこと、またその連なる家々がだいたい同じ外壁・屋根など同じ仕様で仕上げられていることが
とても凛としていて、文化を守る意識が素晴らしく高い地域であることを感じました。
外壁は、海に近い場所は南京下見張りが多く、真壁でなく大壁。妻壁もそのまま南京下見張りで張り上げていました。
海風が当たることもあり、すぐに灰色に変化する杉板。また新しく柿渋等塗られた外壁も見られました。
内陸部などでは真壁で軒下は簓子下見張りで妻壁は漆喰の真壁の家も多くみられました。
その場合の漆喰は新しく塗り替えたような白もあり、南京下見張り同様、
修復しながら住まわれている様子が見て取れます。
屋根は黒色の瓦で切妻屋根。
これは拝見した全ての家がそうでした。
車を走らせながらの助手席からのカメラワークは最悪で、
目に焼き付けた風景とは全く違った写真が撮れていましたが、こちらのその一例を恥ずかしながら。。
こちら能登島の住宅
腰壁に簓子下見張りの真壁造りが多いです。
能登島から本州にもどり、能登半島横断の真ん中あたりの住宅の様子。
各家の庭の樹木には、雪吊りがしてあります。
これが毎年当たり前の冬支度。
吊ってある最上部の縄の結び方で植木屋さんの違いが判るらしく、
町の造園屋さんにしっかり仕事があるということが伺えます。
職人さんの手で支えられる暮らしを維持する町。
これにより、技術がつながり文化もつながり町の価値が高まる。
ふいに目に入った藁ぶき屋根。
住宅に見えたが、写真に消火栓や看板らしきものもありアプローチの雰囲気を考えると公共の建築か。
能登半島横断の少し海よりの内陸部の街並み。
南京下見張りが多くなってきました。
素地からの経年変化でシルバーグレーになっているものもあれば、柿渋着色からの経年変化で濃い灰色になっているものもありました。
こちらは公共の建築かと思いきや、住宅と併設される物置のように見えました。
およそ改修して、焼杉と漆喰で作られた蔵。
こんな改修が当たり前のように価値がある町。
躯体が朽ちて大屋根がすごい波打っている建築も。
このように朽ちた建築はこの一軒だけでした。
全体は本当に綺麗な街並みです。
能登半島の対岸に近い住宅の様子。
庭や畑のきちんと手入れされた様子や、切妻屋根と南京下見張りの壁。
この南京下見張りの壁が集落中にあるのですが、カメラワークのあまりの下手さ具合で一部しか切り取れませんでした・・
もう少し海に近くなると、海風をよける防風林のやくめのような笹に似た細い薄褐色の植物が、南京下見張りのシルバーグレーの家を守るように立っていました。
南京下見張りが好きな私は、出来ることなら歩いて散策したい気持ちになりましたが、
一人旅でないのでぐっと我慢。
しかし日本にはこんなに地域の職人で修繕しながら家を住み継ぐ暮らしだけが広がっている場所があるのか、と感動しました。
およそ、もう少し北上するとより多くのそんな集落を拝見することが出来るでしょう。
それはまた次回の楽しみに。